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ヒト・コトを知る
radikoプロジェクトが体現する、若手エンジニアの挑戦と成長
株式会社radikoプロジェクトメンバー
注記
※本記事の内容は、取材時点(2026年8月)の情報に基づいています。
DATUM STUDIO株式会社は、2026年10月1日付で株式会社エイトハンドレッドと経営統合し、株式会社RONNABYTEとして新たなスタートを切りました。RONNABYTEの採用サイトは現在準備中です。
そのため本記事は、従来の会社名(DATUM STUDIO)で記載しております。
概要
DATUM STUDIOが支援している株式会社radiko(以下、radiko)は、スマートフォン、パソコン、スマートスピーカーなどのデバイスを通じて全国のラジオ放送を配信するほか、ユーザーの聴取データなどを活用し、ターゲティングが可能なデジタル広告事業を展開しています。
MAU(マンスリーアクティブユーザー)が約850万人にものぼるradikoでは、新規アプリ機能の開発、広告システム構築、データ基盤の運用まで、CX(カスタマーエクスペリエンス)の向上を目的とした複数のプロジェクトが同時進行しています。
今回は、radikoのプロジェクトに携わる当社メンバーの中から、プロジェクトマネージャー(PM)のRyuku.N、アプリ開発を担当するSatoshi.M、広告配信システムを担当するKoki.Kの3名に、本プロジェクトでの役割やそこで得た知見、直面した技術的な課題への向き合い方、成長の機会について聞きました。
対談者プロフィール
複数のプロジェクトが並走する、radiko支援の全体像
――まずは、現在進行しているradikoプロジェクトについて、簡単に教えてください。
Ryuku.N:radikoさまのプロジェクトでは、データ基盤の運用をベースに、新規システム開発やデータサイエンスに関する案件など、複数の取り組みが同時に進んでいます。
その中で、Satoshi.Mさんにはradikoアプリのデータ連携部分を、Koki.Kさんには広告配信システムの新規開発を担当してもらっています。
――Ryuku.Nさんは、radikoプロジェクトのPMを務められているんですよね。具体的にどんな役割を担われていますか。
Ryuku.N:進行スケジュールやタスクの管理だけでなく、クライアントの要望を整理し、それを実現する方法をメンバーと考え、開発につなげる役割を担っています。
radikoさまのプロジェクトには入社1年目から継続して関わらせていただいているので、「なぜこの仕組みになっているのか」という過去の経緯も含めて把握できています。必要に応じて設計・実装・レビューにも入りますが、特定の人にナレッジが蓄積され、属人化してしまうことを避けたいという思いから、すべてを自分だけで判断するのではなく、メンバーそれぞれの専門性に頼ることも大切にしています。
技術・メンバー・クライアントをつなぎ、チームとして継続的に価値を出せる状態を作ることが、今の私の役割だと考えています。
――Satoshi.Mさんは、アプリ開発・レコメンド機能を担当されていますが、具体的にはどんな業務ですか。
Satoshi.M:radikoアプリのレコメンド機能に必要なデータを作成し、アプリ側へ連携することで、ユーザーごとに異なるおすすめコンテンツを表示できるよう構築しています。
プロジェクトに参画した当初は、データの特性や既存のデータ基盤の仕組みが分からないことが多く、Ryuku.Nさんには色々なことを細かく相談していました。
前職でもデータに関する仕事はしていましたが、これほど本格的にシステムを新しく開発する業務は経験したことがなかったので、まずデータの特性をしっかり知ったうえで手を動かすことが大事だと学びました。
――Koki.Kさんはradiko Adを担当されていますが、業務内容を教えてください。
Koki.K:広告在庫の可視化から配信設定までを自動化するアプリケーションの開発をしています。
要件定義から開発までのフェーズでは、フロントエンドのUI周りを担当し、現在の保守運用においては、バックエンド、インフラ、一部のデータ基盤も担当しています。
要件定義から参加するのはこのプロジェクトが初めてで、クライアントが想定しているものと、私たちが開発すべきものについて、認識を合わせることに個人的には苦労しました。
プロトタイプを作り先方からフィードバックをいただき、徐々にご納得いただける形へと落とし込んでいきました。
入社1年目で経験したPoCが転機に
――Ryuku.Nさんは、新卒入社からPMという立場に至るまで、どんな仕事やプロジェクトを経験されましたか。
Ryuku.N:新卒研修のあと、いくつかのプロジェクトを経験しました。
最初のプロジェクトでは、「チーム全体で成果を出す」ことを意識し、作業効率化ツールの共有や事前レビューの仕組み作りに取り組みました。その取り組みが評価され、会社のアワードで表彰されたこともあります。
大きな転機となったのは、radikoさまのプロジェクトでPoCを担当したことです。それまでは、既に用意されている開発環境の中で、追加開発を担当することが中心でしたが、このプロジェクトでは、環境構築を含めて技術的な作業を私が中心となって担当しました。
Snowflake、BigQuery、dbtを使用し、環境構築から検証まで幅広く携わり、入社1年目から「自分で考えてゼロから構築し、判断する」経験ができたことは、大きな自信になりました。
PoCの検証結果を受けて本番開発へ移行し、その後は運用に加え、radiko Adやradikoアプリのデータ利活用に関する新規機能の開発・提案へと担当範囲を広げてきました。当時作った基盤が拡張され、現在のデータ基盤につながっています。
▲新卒1年目からradikoさまのPoCを担当したRyuku.N
見えていなかった課題への気づき
――radiko Adにおいて、radikoさまが抱えていた課題やニーズはどのようなものだったのでしょうか。
Ryuku.N:もともとradikoさまでは、広告主への提案内容や見積もりは別のツールで作成し、その進捗や履歴は複数のシステムを跨いで管理されていました。 しかし、見積もりの作成手順が担当者ごとに異なり、データも個別のファイルに分散していたため、業務が属人化し、過去のデータを横断的に振り返ることができないという課題がありました。そこで私たちは、見積もりから提案までの一連の業務を一元管理できる新しいシステムを開発しました。
開発を進める中で、別の課題も見えてきました。広告配信のターゲティングに用いるデータが、様々なパートナーと個別連携・管理となっていた点から、運用者の負荷が高い状態でした。また、そこに付随して不具合が発生した際の原因の切り分けが難しく、対応作業に必要以上の工数がかかっている状況でした。
そこで、データの流れを一つずつ洗い出し、すべてのデータを各データの制約を踏まえつつradiko DMP(DATUM STUDIOが運用するデータ基盤)からの自動連携に一元化しました。不具合発生時の原因の切り分けがしやすくなり対応スピードも上がりました。こうした整備を通じて、広告効果が期待できるユーザーにセグメントを絞って配信することができるようになり、新しい広告セグメント「Impact Audience」の開発・提案にもつながっています。
――Satoshi.Mさんが担当するアプリ開発・レコメンド機能については、どのような課題やニーズがあったのでしょうか。
Satoshi.M:私が現在担当しているレコメンド機能の開発は、radikoさまがユーザビリティテストを実施した際、ユーザーが普段聴取している番組へアプリ内からスムーズにアクセスする方法が確立できていない点に気づかれたことが起点でした。
そこで、ユーザーが求める番組コンテンツへすぐアクセスできるようにする施策として、開発に着手することになりました。レコメンド機能によりUX(ユーザーエクスペリエンス)を高め、最終的にはMAUの増加につなげることも、KPIの一つに設定していました。
課題と向き合う中で培った、開発スピードと品質を両立させる工夫
――業務を進める中で、それぞれどんな工夫をされましたか。
Koki.K:Claude Codeに任せられる作業は任せていますが、アウトプットを鵜呑みにせず、最終的な品質の責任は自分で持つことを意識しています。
開発内容を細かく区切ってレビューしやすくしたり、Claude Codeに検証させてその結果を自分でもう一度確認しています。定型業務についてはスキル化して、自動実行できるようにしています。それらのタスクに関しては工数を4分の1程度まで削減できており、作業が格段に楽になりました。
Ryuku.N:私も要件定義の段階からClaude Codeでプロトタイプを仮組みし、お客さまにレビューいただいています。
画面設計だけでは伝わりにくい部分も、実際に操作できる環境を用意することでフィードバックをいただきやすくなりました。レビューの一次対応をClaude Codeに任せ、その後私自身が確認するという使い方もしており、業務の効率化につながっています。
開発に携わっていた他社のベンダーから「AI中心の開発で、品質は保てているのか」という声が上がったこともありましたが、要件定義の内容をドキュメント化してコードベースに記録し、検証項目を整理することで、品質がきちんと担保されていることを示せる構成にしています。これにより、ご安心いただける開発・進行を実現できています。
こうした仕組み作りも、エンジニアとして工夫しがいがある部分だと感じています。
▲Koki.Kはリモートでの参加となったため、対談は一部オンラインで実施しました
PMとして、任せることと寄り添うこと
――Ryuku.Nさんは、異なる領域を担当する2人とPMとしてどのように関わっていますか。
Ryuku.N:自分がすべてを把握して指示するのではなく、それぞれの強みを生かして任せることを大切にしています。
Satoshi.Mさんがアサインされた当初は、私もradikoさまとの定例ミーティングに参加していましたが、一連の流れを経験してもらったあとは、クライアントとのコミュニケーションも含め、裁量を持って進めてもらっています。
「ここは、自分がいなくても大丈夫だな」と思える場面が増えたときに、Satoshi.Mさんの活躍を実感します。
ただし、任せきりにはしていません。週に1回会話する機会を設け、過去の経緯や設計の意図を共有し、実装方針について一緒に検討したりしています。
Koki.Kさんについては、技術力が高く、担当領域を越えて学ぶ積極性があります。もともと私が広告見積もりの計算ロジックを、Koki.Kさんはフロントエンドの部分を担当する役割分担でしたが、今では計算ロジックの改善も担当してもらっています。
「自分の担当はここまで」と境界線を引くことなく、周辺領域まで理解して挑戦する姿勢には、私も刺激を受けています。
▲PMのRyuku.N(右)とアプリ開発を担当するSatoshi.M(左)
お互いの強みでシナジーを創出するチーム
――プロジェクトチームとして仕事をする中で、良かった、助かったと感じるエピソードがあれば教えてください。
Satoshi.M:分からないことは、その道に詳しい人に聞くことを心がけています。アプリについてはradikoさまのアプリチームに、データ基盤のことはRyuku.Nさんに聞くようにしています。
どうしても私が質問させていただく機会が多いため、質問シートを作ってSlackで共有するなど、回答する方の負担を減らせるよう、聞き方も工夫しています。
Ryuku.N:Satoshi.Mさんの質問は、いつも内容が整理されていて助かります。それに、私が気づいていないところを自然にフォローしてもらっていることもあります。PMとして複数業務を並行していると、レビュー依頼が重なった際に見落としてしまうこともあるのですが、遠慮なくリマインドしてもらえるので助かっています。最近は、私が開発したものをSatoshi.Mさんにレビューしてもらうこともあり、活躍の幅が広がっています。
Koki.Kさんにも、日々助けられています。私自身はWebアプリケーションの専門ではないのですが、レビューをしていく中でコードの意図や背景について教えてもらうことがよくあり、その専門性の高さをいつも実感しています。
Koki.K:Ryuku.Nさんは、データ基盤の開発・運用における知見はもちろんのこと、クライアントの事業やプロジェクトの特性などにおいてもプロジェクトメンバーの中で一番詳しいので、難易度の高い業務では「最後の砦」のような感じで相談させてもらっています。
Satoshi.M:私もデータパイプラインを構築する中で、初めて設計するロジックについて、Ryuku.Nさんに相談することが多くありました。クライアントに納得いただけるアウトプットを目指すためのテストの粒度を検討することは、前職では経験がなかった部分でしたが、より良いロジックを組めましたし、無事に納品することができました。
▲radikoアプリのレコメンド機能開発を担当するSatoshi.M
技術と対話力、それぞれが実感する成長
――本プロジェクトを通じて、ご自身の成長を感じたポイントはありますか。
Koki.K:これまで経験がなかった要件定義の会議に参加し、radikoさまと直接コミュニケーションを取って認識を合わせることや、タスクを設計して進めていくことを経験できました。
こうしたスキルは、Claude Codeが登場したあとも代替されにくい部分だと考えています。そのスキルを培えたことは、私にとって大きな成長です。
Satoshi.M:データエンジニアに必要な技術を、より幅広く習得し、その意義を理解できるようになったと感じています。
データを収集・加工・連携する一連の仕組みであるデータパイプラインを、一から構築する経験を通じて実践的な理解が深まりました。仕事の進め方としても、入社当初と比べると格段に自走できています。基本的には一人でタスクを進め、radikoさまに説明できるようになりました。
――自己の成長を実感する一方で、先輩やradikoさまからいただいたフィードバックの中で、印象に残っているものはありますか。
Satoshi.M:radikoアプリのレコメンド機能をリリースした際、radikoさまから「便利な機能だ」と評価いただき、Slack上でも喜びの声をいただいたことは、大きな達成感と、これからのやりがいにもなりました。A/Bテストの結果、ユーザーの継続率が向上したという報告もいただき、機能の効果を実感できました。
一方、要件定義の段階で不明瞭だった部分を見逃してしまい、手戻りが発生した点について、今後は確認事項に抜けがないようにする必要があるという反省点も得られました。PMのRyuku.Nさんには的確なフィードバックをいただき、感謝しています。
Koki.K:開発フェーズでは、バックエンドを担当していた社内のリードの方から、「フロントエンドを自律的に進めてくれて助かった」という評価をいただきました。一方で、「クライアントが本当は何を解決したいのかまで、考え切れたUIになっていない」という指摘をいただいたこともありました。クライアントの課題の芯の部分にきちんと向き合うという点は、今も意識している部分です。
▲radiko Adの開発・運用を担当するKoki.K
今後の展望
――今後、皆さんがこのプロジェクトやエンジニアとして挑戦したいことを教えてください。
Ryuku.N:目指しているのは、メタデータや暗黙知をコードベースやドキュメントに落とし込み、AIエージェントが自律的に運用を支えてくれる状態です。
私は、PoCの段階から携わってきたこともあり、基盤の仕組みや過去の議論内容、構成の採用・不採用の背景など、今のメンバーでは私が一番把握しています。複数のプロジェクトが並走している中で、こうした背景をチーム全体でもっと共有しやすくしていきたいという考えがあります。
より共有と連携をスムーズにするため、意思決定の経緯や技術的な制約などの重要事項をデータ基盤のドキュメントに反映していくことで、AIエージェントがナレッジを引き出してくれる仕組みを作っていきたいです。AIを前提とした運用体制を築くことで、情報連携と属人化の防止を両立させたいと考えます。
将来的には、障害発生時の要因の切り分けから改善提案までをAIエージェントが自律的に対応することで、対応のリードタイムを短縮し、メンバーがより付加価値の高い作業に集中できる運用体制を目指しています。
Koki.K:私も、Ryuku.Nさんのお話に近い課題を感じています。障害対応や追加開発・改修の際、コードベース上に残っていない意思決定の経緯や制約がAIエージェントに伝わらず、意図と違う実装になってしまうことがあり、それを防ぐためのプロンプト制御やレビューに工数がかかっているという印象です。定型作業をスキル化するだけでなく、プロジェクトや業務フローに固有の要件もコードベースに反映させることで、エージェントが自律的にシステムを維持できる作業の割合を増やしていきたいと考えています。
私は今後、インフラやデータ基盤まで開発・実装できるように担当領域を広げ、クライアントの課題に向き合う力をさらに磨いていきたいと思います。
Satoshi.M:運用フェーズの課題にはまだ改善余地があると感じています。
一つは、イレギュラーな集計が発生した際、担当者が手動で対応しているケースがあり、属人化やヒューマンエラーのリスクにつながっていることです。今後はイレギュラーパターンを洗い出してワークフローに組み込み、標準化を進めたいと考えています。
もう一つは、コスト面です。現状のモデルには非効率な処理がまだ残っている部分があり、クラウドコストの増加要因になっているため、優先順位が高いところからリファクタリングを進めていきたいです。
そして、私個人としてエンジニアのキャリアを考えるうえでは、今後データ基盤をゼロから構築するプロジェクトにも携わり、データエンジニアリングの経験を幅広く、深く積みたいと考えています。
――皆さん、貴重なお話をありがとうございました。
挑戦と成長を支えるカルチャー
今回は、radikoプロジェクトに携わる3名に、それぞれの役割や得られた知見について話を聞きました。
新卒3年目でPMを任されたRyuku.Nをはじめ、メンバー一人ひとりが立場や担当領域を越えて挑戦し、互いに支え合いながら成長しています。こうした風土は、DATUM STUDIOが大切にしているカルチャーの一つです。
データ・AI領域のエンジニアリングに挑戦したい方からのご応募を、お待ちしております。